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貸し工場や倉庫に必要な天井の高さ!天井高の重要性や空調問題の対策も解説

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貸し工場や倉庫に必要な天井の高さ!天井高の重要性や空調問題の対策も解説

地球温暖化の影響により、近年は猛暑に見舞われるケースが増えています。
工場や倉庫では従業員の熱中症対策が求められますが、建物の高さが室温に影響するのをご存じでしょうか。
この記事では、工場や倉庫に必要な天井の高さのほか、天井高の重要性や空調問題の対策について解説します。
貸し工場や倉庫を賃貸借する予定の方は参考になさってください。

貸し工場や倉庫に必要な天井高

貸し工場や倉庫に必要な天井高の高さ

雇用主には、従業員に対し働きやすい労働環境を提供する責任があります。
貸し工場や倉庫を選ぶときには、立地や広さだけではなく、天井高にも注意すると良いでしょう。

建築基準法上における天井高の基準との差

住居の天井高は、建築基準法において2.1m以上と定められています。
また、都市計画法に基づく用途地域のなかには、建物の高さについて10mまたは12m以下にするよう制限されているエリアもあります。
オフィスの天井の平均的な高さは3~4m程度ですが、工場や倉庫の天井高は5~7mが標準です。
工場や倉庫は、作業効率などを考えると天井の高さを確保する必要があります。
しかし、高ければ良いわけでもなく、フォークリフトの荷揚げ能力が4m程度なので5~7mの天井高が多くなっていると推察できます。

事務所を併設する場合

工場や倉庫を運営するため事務所を併設する場合がありますが、事務所の部分には高い天井は不要です。
このため、隣接する場所にプレハブなどで事務所を設置しているケースがあります。
建物の2階に事務所を設置する場合は、建物の高さが10m以下に制限されている地域がある点に注意しなければなりません。
高さ制限があっても、1階の工場部分の天井高を5mまでに抑えると2階に事務所を設置できます。
1階の天井高が低い物件は借り手がみつけにくい傾向がありますが、5mほどの高さを確保すると貸し工場や倉庫として積極的にアピールできるでしょう。

天井が低い物件に対するニーズ

天井が高いほど大きな機械を設置でき、多くの荷物を扱いやすくなります。
ただし、業種によっては5mの天井を必要としていない場合や照明や暑さ対策などのため低いほうが好まれるケースもあります。
たとえば、食品工場の場合には高さが3mほどの冷凍庫さえ入れば、それ以上の高さを必要としない例が少なくありません。
高さを求めていない事業所が天井高の高い物件に入るときには、天井を低くリフォームすると問題点を解消できます。
一方、高さを必要とするときに、天井の低い物件の天井を高く改修するのは容易ではありません。
天井が高い物件は、低い天井を必要としている場合でも活用できる点がポイントです。

貸し工場や倉庫において天井高の重要性が高いケース

貸し工場や倉庫において天井高の重要性が高いケース

貸し工場や倉庫においては、大きな機械の設置や荷物の保管量など業務の内容によって天井高の重要性が高まります。
ただし、作業するスタッフにとって天井が高い環境が好ましいとは限らないため注意が必要です。

工場内の作業

工場内で使用する機械が大型で背の高い場合には、天井が高くなければ入りません。
クレーンを設置するケースも、天井の高さが求められます。
クレーンを使用する場合には、建物の躯体などに直接レールを設置する方法と、土台ごと櫓を組んで設置するケースがあります。
いずれにしても5~6m以上の天井高が必要になるので、天井が高い物件でなければクレーンを設置できません。

保管面積をなるべく多く確保したいケース

多くの荷物を保管したい場合には、天井高は重要なポイントです。
面積が同じでも、天井高が高いと容積が増えて多くの商品を保管できます。
工場や倉庫では商品を3~4段積みするケースが多く、この場合には高い天井高でなければなりません。
建物内にラックを組んで商品を保管する場合も、段積みと同様に高い天井が必要です。

高い天井のメリット

2階に事務所を設置できると小さな敷地でも事業を運営しやすくなり、1階の天井の高さが5mほどある建物は、さまざまな用途で利用できます。
都市計画法により10mの高さ制限があるエリアでは、1階の高さが5mほどで2階が3m弱の物件が好評を得ています。
2階部分については事務所のほか小規模な倉庫として活用されるケースもあり、貸主は、幅広い業種を借り手の対象に設定できるでしょう。
また、低い天井を高く改修するのは難しいですが、高い天井を低く改修するのは可能です。
低い天井を求めている場合には、化粧石膏ボードなどを使用して低く改修すると良いでしょう。
なお、天井が高い建物は、一般的に採光できる範囲が広がるとともに部屋全体に開放感が生まれる点でスタッフのモチベーションにも良い影響を与えると考えられます。
労働者に働きやすい環境を提供するのは、事業主に求められる大切な役割の1つです。

高い天井のデメリット

天井高の高い建物は、必要になる建材が増え、建設工事に手間がかかるためコストが高くなる傾向があります。
照明の交換など高所の作業は、高所作業車などの外注が必要なケースも考えられます。
また、縦に空間が広がるため、冷暖房の効率が悪くなる点もデメリットの1つです。
空調設備が整っていない場合には、夏場になると40~50℃ほどになってしまうかもしれません。
暑い中での作業はスタッフが熱中症になるリスクを生んでしまうので、万全な対策が必要です。

天井高が高い貸し工場や倉庫における空調問題の対策

天井高が高い貸し工場や倉庫における空調問題の対策

天井が高い貸し工場や倉庫は冷暖房の効率が悪く、働くスタッフにとって好ましくない環境になっているケースもあります。
事業主は労働者を守る大きな責任を担っており、空調問題を解決するよう対策しなければなりません。

屋根の工夫

折半屋根を用いている建物がありますが、折半屋根は金属なので熱を吸収し、夏場には表面の温度が70℃~80℃にまで達する可能性が考えられます。
遮熱塗料や断熱塗料で屋根を塗装するほか、遮熱シートの施工など太陽光による室温の上昇を抑える対応策を施すようにしましょう。
遮熱塗料は太陽光による室内の温度上昇を抑えるのに効果的ですが、室内を保温する効果はありません。
一方、断熱塗料は冷気による影響を抑えられるので、冬場における保温効果も期待できます。

空調機の工夫

空調機には、天井埋込カセット型やダクト型、天井吊型、床置型があります。
天井が高いと建物は暖気が上部に溜まり足下が暖まりにくくなるため、天井が高い工場や倉庫には床置型を設置すると良いでしょう。
床置型の空調機は2mほどの高さがあり設置場所の確保が必要ですが、工事費用を抑えられるほか、掃除やメンテナンスが容易で済みます。

スポットクーラー

スポットクーラーは部屋全体ではなく、風が当たる箇所をピンポイントで冷やす少人数用のクーラーです。
移動が簡単で、エアコンよりも電気代が節約できるとともに価格も安めです。
ただし、スポットクーラーを設置すると、冷風とともに温風も排出される点に注意しなければなりません。
排気ダクトで室外へ排熱しないと、冷風を向けた箇所は涼しくても、周囲が暑くなってしまいます。

大型扇風機

工場や倉庫では、家庭用のものよりも羽が大きい大型扇風機を導入すると良いでしょう。
強力な風を起こせるので、エアコンやスポットクーラーの冷気を効率的に拡散できます。
大型扇風機は、他の装置よりも価格が安く、ランニングコストも抑えられます。

シーリングファン(天井扇)

シーリングファンとは、天井に大きな羽根を設置して空気を循環させる機械です。
空調機から放出される冷風や天井に溜まった暖気を循環させられ、夏冬ともに利用可能です。
工場や倉庫など広い空間での使用に適しており、体感温度を下げる効果が見込めます。

まとめ

事業主は、労働者に対し働きやすい環境を提供する役割を担っています。
天井が高い工場や倉庫の場合、空調を整えないと夏場には40~50℃ほどになってしまうかもしれません。
屋根を工夫するとともにスポットクーラーなどにより空調問題を対策して、労働者の健康を守りましょう。


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