事業用賃貸物件とは?賃貸借契約の流れや注意点を解説

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事業用賃貸物件とは?賃貸借契約の流れや注意点を解説

店舗や事務所として賃貸物件をお探しの際は、事業用賃貸契約を結ぶ必要があります。
居住用賃貸契約とは取り扱いが異なるので、物件選びの際は注意が必要です。
そこで今回は、事業用賃貸契約を結ぶときの流れや注意点を解説します。

事業用賃貸契約と居住用賃貸契約の違い

事業用賃貸契約と居住用賃貸契約の違い

事業用賃貸契約と居住用賃貸契約には、使用目的に違いがあります。
居住用賃貸契約は住むのが目的であるのに対し、事業用賃貸契約は事業を営むのが目的です。
そのため、初期費用や契約保護の観点でも扱いが異なります。

初期費用の違い

居住用賃貸契約では、敷金は家賃1か月分が目安です。
退去時には原状回復にかかる費用を差し引いた分が返還されます。
顧客や取引先など不特定多数が出入りする事業用賃貸物件は、居住用賃貸物件よりも損傷が進みやすい特徴があります。
そのため、敷金が高めに設定されることが多いでしょう。
目安は賃料の10〜12か月分程度なので、初期費用も高くなる傾向にあります。

契約保護の違い

居住用賃貸契約の契約者は、消費者契約法により不利な契約を結ばないよう保護されています。
借主に対して不利な条項は無効になります。
しかし、事業用賃貸契約は消費者契約法による保護はありません。
そのため、契約期間や原状回復などの項目は契約締結時にしっかりと確認するようにしましょう。

事業用賃貸契約の流れ

事業用賃貸契約の流れ

事業用賃貸契約は、どのような流れで手続きするのでしょうか。
物件選びから契約締結までの流れを見ていきましょう。

物件情報を収集する

まず、事業内容に応じて賃貸物件に求める条件を整理します。

●広さ
●立地
●設備


オフィス利用なら、従業員1人あたり3〜4坪程度の広さが必要です。
来客の多い業態なら、アクセスのしやすさも重視すべきポイントです。
場合によっては、専用の駐車場なども必要となるでしょう。
このほか、会議室や応接スペース、特殊な設備の有無によっても条件は変わります。

物件探しと内見

条件がまとまったら、希望にマッチする物件を探しましょう。
候補となる賃貸物件は、実際に足を運んで内見します。
資料や写真からの情報と、内見で得られる情報は異なります。
集客が重要となる業種では、人通りや公道からの視認性も重視すべきポイントです。
たとえばファミリーをターゲットにするなら、子連れで立ち寄りやすい建物かどうかも確認しましょう。
テナントビルでは、道路に面している1階の路面店舗が集客では有利ですが、賃料は高く設定されています。
しかし、予約や入会が必要な業態(美容室や学習塾など)は気軽に入るお店ではないので、階数にはあまり左右されません。
そこで、業態によってはあえて空中店舗を選び、賃料を抑える戦略もあります。

物件の申し込み

物件の内見がおわったら、申し込みをおこないます。
なお、事業用賃貸物件では事業計画書の提出を求められることもあります。
また、入居審査に落ちる場合もあるので別の候補もチェックしておくと良いでしょう。

入居審査

事業用賃貸物件の入居審査では、賃料の支払い能力だけでなく事業計画妥当性も審査の基準となります。
そこで、事業計画書には創業の目的やサービス内容、収支の見積もりなどを記載しましょう。
それをもって、オーナーが入居の可否を判断します。
どのような事業計画書が選ばれる?
事業用賃貸物件のオーナーはさまざまな考え方を持っているので、賃料の支払い能力(事業の継続性)はもちろんのこと、人柄を重視している場合もあります。
たとえば、オーナー自身が物件内に居住している場合、喧騒を避けるため深夜営業は不可とすることもあるでしょう。
また、同じビル内に類似の店舗があるようなケースでも、競合を避けたいオーナーは入居を断るかもしれません。
そこで、オーナーがどのような系統の業態を受け入れているのかも確認すべきポイントです。
人柄を見て判断するタイプのオーナーなら、一度は入居を断られたとしても交渉を続けるなかで審査に通るケースもあります。

契約締結

入居審査に通過したら、賃貸借契約を結びます。
契約に際し、不動産会社の担当者より重要事項説明がおこなわれます。
気になる点があるときは、契約締結までに確認するようにしましょう。
なお、居抜きの事業用賃貸物件では造作譲渡契約の締結も必要です。
そして、以下の初期費用を支払います。

●礼金・敷金(保証金)
●仲介手数料
●前払い家賃
●共益費・管理費
●火災保険料


なお、家賃保証会社を利用する際は保証会社の利用料も必要です。

事業用賃貸契約を結ぶときの注意点

事業用賃貸契約を結ぶときの注意点

事業用賃貸契約の締結にあたっては、知っておきたい注意点があります。
どのような注意点があるのか、対応方法とともに確認していきましょう。

各種特約を確認する

事業用賃貸契約では、特約が付帯することがあります。
なかには借主にとって有利になるものもあるので、必要な特約は付帯できるよう交渉しましょう。
主な特約には、次のものがあります。
休業補償の特約
何らかの理由で事業用賃貸物件が使用不能となり、休業せざるを得ない場合があります。
休業期間中は利益を得られないので、事業主にとって大きな損失となるでしょう。
休業理由が電気設備の点検や老朽化にともなう配管工事といったオーナー都合によるものでも、休業補償の特約がなければ補償はされません。
このようなリスクを避けるため、家賃減額などを求められる特約を付けておくと安心です。

違約金に関する注意点

契約書の取り決めに反すると、違約金を請求される可能性があります。
事業用賃貸物件では、以下のようなケースで違約金が発生します。

●契約期間内に即時解約した
●居住用賃貸物件を無断で事業用に転用した


一般的に、契約期間内に退去する際は事前に申告する必要があります。
たとえば民法(第617条1項)では、期間期間が決まっていない賃貸借契約では、3か月前までに解約の申し入れが必要と定められています。
この場合、即時解約するには3か月分の賃料を違約金と支払うのが合理的と判断されるでしょう。
また、居住用の賃貸物件を無断で事業用に利用することも違約金の対象です。
場合によっては契約解除にいたることもあるのでご注意ください。

契約の解除に関する注意点

賃料の滞納や、オーナーとの信頼関係が損なわれるような行為、近隣住民とのトラブルなどが発生すると、契約解除となることがあります。
事業用の建物賃貸借契約では、催告なしに解除できる事由が記載されているのでご確認ください。

原状回復に関する注意点

退去時には原状回復したうえで建物を明け渡す必要があります。
しかし、事業用賃貸物件では業務用の設備設置や造作など何らかの手が加えられている可能性が高いでしょう。
そこでどこまで原状回復が必要となるのか、また、原状回復されなかったときの対処や費用負担についても事前に取り決めておかなければなりません。
たとえば、設備譲渡の特約を付帯しておくといった対処方法が考えられます。
このほか、原状回復時に取り外しが困難な造作はつけないなどの対策も有効です。

まとめ

事業用賃貸契約を結ぶときに知っておきたい、手続きの流れや注意点を解説しました。
居住用の賃貸物件とは使用目的が異なるので、物件を借りる際は契約内容をしっかりと確認する必要があります。
契約時はもちろんのこと、退去時にもさまざまな注意点があるので、不明な点があるときには事業用賃貸物件の取り扱いに詳しい不動産会社へ相談することをお勧めします。


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