賃貸借契約における「敷金などに関する特約」をご存じでしょうか?
賃貸借契約のさいには、さまざまな手続きをする必要があり、しっかり契約書を確認せずに印を押してしまうという方もいるかもしれません。
その賃貸借契約書には、「敷金などに関する特約」が記されている場合があり、これを把握せずに契約をしてしまうと、のちのちトラブルとなる可能性があります。
ここでは、賃貸借契約における「敷金などに関する特約」とはなにか、事例を含めて、まとめました。
賃貸借契約における「敷金などに関する特約」とは?
賃貸借契約における「敷金などに関する特約」とは、「原状回復の原則」とは異なった契約内容によって、賃貸住宅などを退去する際に、その費用を借主に請求する契約です。
国土交通省は、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」として、原状回復の費用負担について、一般的基準を取りまとめています。
そして、2020年に改正された民法では,賃借人は「賃借物を受け取った後に生じた損傷について原状回復義務を負うこと」「通常損耗や経年変化については原状回復義務を負わないこと」が明記されています。
通常損耗とは「家具の設置による床やカーペットのへこみ、設置跡」「テレビや冷蔵庫などの後部壁面の電気ヤケによる黒ずみ」「エアコン設置による壁の穴」などが該当します。
一方で、「タバコのヤニやにおい」「ペットによる傷」「結露を放置したことによるシミやカビ」「風呂やトイレなどの水垢やカビ」「許可のないリフォーム」などは該当しません。
賃貸借契約における「敷金などに関する特約」の事例
よくある特約の事例を以下にまとめたので、賃貸借契約書に印を押すまえに、確認しましょう。
●ルームクリーニング代は、借主負担とする。
負担する範囲(部屋全体など)や負担する金額について「一律〇〇円とする」と明記されていることが多いです。
●畳、カーペット、フローリングなどの床の張り替えは、借主負担とする。
一般的に、畳の場合は1枚あたり、カーペットは部屋全体、フローリングは1㎡あたりの負担金額が明記されています。
●襖の張り替えは、借主負担とする。
一般的に、襖は1枚単位の負担金額が明記されています。
●クロスの貼り替えは、借主負担とする。
クロスは1㎡単位、もしくは変色した部分を含む一面分単位の金額が明記されていることが多いです。
●鍵の交換費用は、借主負担とする。